この詩編8編はこの世界を創造された主なる神様の偉大さを賛美しつつ、同時に
「人は何者か」を私たちに問う内容です。1 節のギティトですが、音楽的な指示ま
たは旋律・楽器の名称であると考えられています。そのような8編ですが、内容は
夜空を仰ぎ見た詩人の驚きと感謝から始まります。「あなたの天を、あなたの指の
業を私は仰ぎます。月も星も、あなたが配置なさったもの。」(8:4)古代イスラエ
ルの人々は、宇宙の壮大さを前に、人間の小ささを実感したのです。その小さな存
在に、神が特別な使命を与えたというのがこの詩編の中心テーマです。この詩の作
者は、こう言います。「神に僅かに劣る者として人を造り…造られたものをすべて
治めるようにその足元に置かれました。」(8:6-7)ここに聖書が語る人間の姿があ
ります。①神に似せて造られた者(創世記 1:27)であるということ。②地上の管
理者としての責任を与えられた者であるということです。
この「似せて」というのは古くからいろいろな議論がありました。最近では「性
別や国籍や障害などを越えた、すべての人が等しく持つ価値」として理解されよう
としています。神様に似せて造られている存在として、地上の管理者としての責任
は他の動物とは違い人にしか成しえない特別な役目です。私たちは確かに他の生物
とは違う「神に似せて」作られ、この地球を管理することが出来る唯一の存在なの
です。しかし今日、人は神様からこの地球を治める役割を命じられているにも関わ
らず、自らの欲望で地球を汚し、戦争や環境破壊、差別や孤立が絶えません。
ですから私たちは再びこの問いを突きつけられています。「人は何者か?」「私た
ちは何のために生きているのか?」と。この答えは、私たち一人一人が真剣に考え
なければなりません。第 2 次世界大戦終戦から80 年を迎え、平和について真剣に
考えることができる力もまた、神様がご自身に似せて造られた私たちに与えてくだ
さった力なのです。私たちは、イエス・キリストによって贖われた存在です。その
ことに感謝し、平和を作り、愛を分かち合い、神の栄光を地に映す者として歩みま
しょう。
